古代人の祈り  ハーブを花束にして

 

 

   ハーブの歴史を記録からさかのぼれるのは大体3500年くらい前からですが、

  古代6万年前のネアンデルタール人の遺跡からは人骨とともに大量の花粉が発見されました。

 

 

  その痕跡から、彼らが死者を葬る際には床に花を敷き詰め、胸の上に花束のようにして

  植物を置いたものと考えられました。

 

 

  花粉の分析結果から、植物はヤロー、ヤグルマギク、アザミ、マロウブルーなど

  8種類全てがハーブでした。そのうち7種類は現在でも医薬で使われており、

  植物は1カ所から集めたものではなく、生育地の違うものを摘んできたことがわかりました。

 

 

 

  古代の人々は、どのような思いで花を摘み死者に花を捧げたのでしょうか。

 

 

  今も昔も死者を悼む気持ちは同じでしょう。歓びも哀しみも同じ、心は何も変わらないのです。

  花を手向けたことで、命を大切にしていたことがわかります。

 

 

  生育地の違うハーブをわざわざ選んでいるということは、6万年前の人がすでにハーブの特性

  や効能を知っていたと思われます。香りもさることながら、心身を癒やす聖なる薬草として使わ

  れていたのでしょう。体を清めたり傷を癒やしたり、死後の世界で苦しんだりしないように願った

  のではないでしょうか。

 

 

 

  4万6千年前の遺跡からも香りの良い木を集めて焚いた跡が発見されています。

 

 

 

   香り、香料のことを英語でPerfume/パヒュームと言いますが、ラテン語の「煙を通して」

  という意味からきています。人類が火を発見し、ありとあらゆるものを燃やしていく中で、

  偶然うっとりするような甘い香りの草木をみつけたのでしょう。

 

 

 

  大自然の中で五感全てに染み入るような体験を重ねていくうちに、天に昇り天に吸い込まれて

  いく煙を見ながら、何らかの特別な感情が湧きでたとしても不思議ではありません。

 

 

 

  芳しい香りは煙となって生と死、天と地をつなぎ、神と人をつなぐ架け橋のような

  特別な存在になっていったのでしょう。

 

 

  古代の人々は、日々の食べ物の確保、外敵からの防御、自然の太陽や雨の恵み、

  病気の治癒にいたるまで、天上の何か大いなる存在に救いを求めるようになります。

 

 

  現在よりはるかに古代では、目に見えなくても存在するものとして

  神(大いなる存在)を信じていたでしょう。

 

 

 

  良い香りは神も喜ぶに違いない、煙となって天へ吸い込まれていくことで願いや

  祈りを届けられるだろうと。古代、神への捧げ物が天へ昇る煙「香り」だったのです。

  原始宗教(ミレニアム)の始まりがここにあります。

 

 

 

  火を発見した古代人にとってハーブや香木は自然からの最上のギフト、贈り物で価値あるもの

  でした。 現在でも世界中の宗教儀式には香が供えられます。また、神や仏に遣える人たちは

  体を香で浄め、場を清めます。清浄な心身になるために香りを利用してきたのです。

 

 

   今では多種多様な宗教がありますが、最初は人々の純粋な1つの思い、

  1つの祈りから始まったのでしょう。

 

 

  ネアンデルタール人の遺跡が物語るように死者を悼む気持ちを花や香りに託した・・・

  (どうぞ、安らかに)とそれだけであったように思います。

 

 

 

  自然から生まれた命を、もとの清らかなもの(気、魂)にして自然に還す。

  そうやって、また次の命が生まれたことに感謝する。

 

 

  古代の人々が大自然のサイクルの中で大いなる存在と向き合うとき、生きるために

  何か介在するものが必要であった、

  それが人の身体や心を癒やす香りのよい植物、ハーブだったのではないでしょうか。

 

 

 

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